博士の末は・・・高学歴ワーキングプア博士の就職難

先月書いた記事[博士の末はフリーター?派遣社員?]では、[〈新・学歴社会〉就職漂流 博士の末は]を取り上げました。博士の行く末の厳しいことは、課程に進学する前から重々分かっていたことだという意見を書きました。また新聞社でこの現状を記事に取り上げられていたので紹介します。

高学歴ワーキングプア 博士の就職難 深刻 院生増加策も受け皿不足

博士号を所得した後、1、2年の短期で大学・研究所などに籍を置く研究職をポストドクター(ポスドク)と呼ぶ。その1人、九州大学大学院に籍を置く桜井玄さん(30)は「30代で准教授に次ぐ助教などの正規職員になれたら幸運。ポスドクにすらなれない分野もある」と語る。昨年4月に現職を得たが、任期は1年。他大学の助教などに応募しているが「来年度の行き先は未定」。約180万円の年収さえ失う可能性があり、そうなれば研究費を払いながら大学に在籍することになる。生活費は塾や短大の非常勤講師で稼ぐ予定だが、奨学金250万円の返済は3年後に迫っている
・・・
しかし、主な就職先である大学の正規職員は減少傾向にあり、期待されていた企業への就職も伸び悩んでいる。「博士課程進学=大学の先生という暗黙の了解がかつてあった」と語る水月さんは「民間企業は年齢制限が厳しく、博士号取得者を受け入れるための給与体系が整備されていない」と問題点を指摘する。
・・・
文科省は06年度から「キャリアパス多様化促進事業」で全国12カ所の大学などに予算を配分、就職説明会などを実施してきた。その1つの九州大学は「研究分野にこだわらず、職種を広げ、博士の論理力や分析力を『売り』に就職支援」した結果、2年半で約60人を民間企業に送り出せた。経産省は中小企業などが出資する研究組合に、研究者1人につき最大二110万(年間)の賃金補助を出す制度の創設を検討している。
・・・
病院経営などに携わる「麻生」(福岡市)は積極的に博士号取得者を採用してきた企業の1つ。古野金広専務(60)は「博士には物事の全体像を把握できる能力が高い人が多い」と評価しながらも、「要はジャンルにこだわらずチャレンジ精神を持つ人材が求められる」「35歳以上は年齢が問題になる場合もある」とも打ち明ける。
・・・
博士は研究ばかりでコミュニケーション能力が低いといった偏見が企業側に依然根強い」と九州大キャリア支援センターのコーディネーター井上剛實さん(64)は嘆く。水月さんは「多大な税金を投じて育てた博士が社会で生かされないのは大きな損失。新たな仕組み作りが必要」と語っている。

大学や公的研究機関、先日取り上げました産総研も含めて正職員の席は限られていますので、博士を民間企業に送り出したいと考えることは当然のことだと思います[産総研による若手研究者の人材育成・輩出]。記事で気になったのは、企業でも35歳制限なんてあるんですね。もっとも若い人ほど柔軟に職務に対応可能(研究の積み重ねが薄いという意味)でしょうから当然のことかもしれません。大学などの公募では35歳制限を頻繁に見かけますので、35歳が一つの節目になることは間違いなさそうですね。ただし、これまで積み重ねてきた分野での研究に未練タラタラで辛抱し続けるのか、すっぱり割り切って企業に就職してどんなことでもチャレンジできるのか、どちらが正解なのかなんてだれにも分かりませんから、結局自分で答えを出すしかないんです。と、こんな記事を書いているとため息しか出ませんが、残された時間?で精一杯やるだけなのです。自分に言い聞かすために記事を書いているzoobioでした。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です