博士の末はフリーター?派遣社員?

〈新・学歴社会〉就職漂流 博士の末は

塾の講師、図書館の棚卸し、学校の警備員――。いったい、いくつの職業を経験しただろうか。10年余り、年収100万~150万円で暮らした。大学の教員には、100回以上応募。しかし、なしのつぶてだった。
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博士号は原則、大学卒業後に大学院で計5年間、勉強と研究を続けてようやく取得できる。しかし、学歴社会の「頂点」であるはずの博士のその後は、必ずしも明るくない。就職率は約6割にすぎず、理系に多いポスドク(ポストドクター=任期付きの博士研究員)や文系に多い専業の非常勤講師という不安定な立場にある人が、それぞれ約1万5千人(文部科学省調べ)、約2万6千人(首都圏大学非常勤講師組合調べ)にのぼる。
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博士に人気が高い大学の教員や公的研究機関の研究職の数は、減少傾向だ。さらに期待されていた企業への就職者数も、全就職者数の約6分の1と、米国の約3分の1に遠く及ばず、受け皿自体が狭い。「専門能力は高いものの、他の分野の知識やコミュニケーション能力が不足している場合が多い」というのが企業側の理屈だ。また、待遇の面で博士を優遇しない企業も多い。
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こうした意見に対し、ノーベル化学賞の受賞者でもある野依良治・理化学研究所理事長は「グローバルな知識基盤社会に日本が生き残るためには、十分な質を持つ博士が今以上に必要だ」と反論する。諸外国との比較から、むしろ理工系で20~30%、文系では3~4倍に増やさなければならないと主張する。
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文科省によると、日本の人口当たりの大学院生の数は欧米の約半分。永山賀久・国立大学法人支援課長は「博士は国際的にみれば圧倒的に足りない。就職できない人がいるから減らすというのは、国全体としてみれば間違いだ」と言い切る。

この記事を見る人は圧倒的に博士課程の学生、ポスドク、任期付研究者が多いと思われますが、この記事を読んで何を思うんでしょう。博士が世の中の雇用に対して爆発的に多いことや、大学の教員や公的研究機関の研究職の席の数が少ないことは、博士課程に進学する前から重々分かっていると思います。

そうした中でも数少ない席の一つを獲得しようと必死で努力しているわけですから、特に記事中に出てこられるそれなりの立場にいる方は、この問題を解消・改善するところに力を注いで欲しいものです。評論家じゃなく世界の研究者なのですから。

とは言っても、国が動き出すのを待っているわけにいきません。特に現在の公募戦線では年齢の問題もありますし、いかに隙間産業の中で迅速に学術レベルを上げ成果を出していくか、それだけに集中したいものです。年末に年越しポスドク村だけには足を運ばなくていいように。

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